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■シュタイナー・音楽療法 Musiktherapeutische Erfahrungen
カロリン・フィッサー著/楠カトリン,内山奈美訳/
竹田喜代子監修
Copyright 2014/A5判並製 256p/
ISBN978-4-7565-0126-4/
定価(4,000円+税)
【内容】
日本初シュタイナー音楽療法実践書。
自己治癒力を最大に引き出し、心身のバランスを取り戻すための
考え方や実践の方法を具体的に記述。
発達に障がいを持つ子どもや
精神的ケアを必要とする大人のために。
そしてすべての人のために。
年月を経て残ったメロディーやモチーフの譜例集付。
【出版社から】
本書は人智学(アントロポゾフィー)の考え方が基盤となっておりますが、翻訳者と監修者と編集者とで原文にあたりながら、表現を探りながら、人智学を知らない方にも理解して頂けるように日本語訳を試行錯誤して、完成するまでに長い時間を費やしました。譜面作成にも多くの方々の協力があって完成した書籍です。皆様方の琴線に触れる書籍が出来上がったと思っておりますので、どうぞ一度お手にとってご覧になってみてください。
【本文から抜粋】
しかし、私達の思いが、それ以上強くならないように気をつけなければいけません。
子どもにきっかけを与えはしますが、その先は、いつも子どもが自ら動き出すように、
イニシアティブを子どもが取るようにしなければならないのです。
こうすることで次の基盤を築くことができます。
私達が自分の意志や苛立ちを抑えることができるようになると、
そのうち、子どもから多くを学ぶことに気づくでしょう。
私達が忘れてしまった世界の中に子どもはいるのです。
そして、その子と共に歌い演奏する音楽は、やがて、
私達と子ども、子どもと地上との掛け橋になってくれます。
【プロフィール】
カロリン・フィッサー
1919年オランダ・ハーグで生まれる。ブリュッセル王立音楽院卒業後、ハーグ王立音楽院でバイオリンの研修。バイオリンのディプロマ・マスター。生まれた息子に知的障害があったことから、夫のノルベルト・フィッサーとともに、障がいを持った人々の身体に作用して、本来の身体の機能が戻ってくるような新しい音の楽器の製作を始める。ゾネハウスザイストで知的障害のある子供のための音楽療法を開発。その後、知的障害のある若い人のための村の創立に着手。このプロジェクトはラファエル財団という大きな組織に発展し、社会セラピーのためのホームや作業所などを運営している。フリッツ・ヴィルマーのもとで療法教育を研究。カール・ヴァイドラーやアニー・フォン・ランゲなどの音楽家、ユリウス・クニーリムなどの音楽学者、社会セラピストなどのとの交友があり、音楽療法士として長く活動。音楽療法について本や記事などを著作多数。
楠 カトリン
ドイツ・ブランデンブルグ州出身。ベルリン・フンボルト大学日本学科・翻訳通訳コース卒業。結婚後広島に移住。3年間翻訳会社に勤務。その後、育児期間を経て2000年ごろからフリーランスで翻訳・通訳をスタート、現在に至る。仕事の内容は主に「実務翻訳」、技術から論文や芸術・音楽まで幅広い。シュタイナー関係の音楽ワークショップの通訳を担当した際に本書を知り、翻訳に挑戦した。
内山奈美
筑波大学人間学類(心身障害学専攻)卒業後ドイツに留学し、ヴュルテンベルク州教会立エスリンゲン教会音楽大学卒業。教会音楽家資格ディプロマB取得。現在は神戸ユニオン教会ドイツ語礼拝オルガニスト。日本オルガニスト協会会員。フリーの通訳者として機械関係・商談・国際交流の他、障がい者福祉や理学療法の通訳も行っている。
竹田喜代子
音楽療法士(ゲーテアヌム精神科学自由大学医学部門公認)
40年にわたり、音楽教育に従事。東京シュタイナーシューレ(現学校法人シュタイナー学園)の音楽教師を12年間務める。1986年より障害をもつ子どもの教育に取り組む。近年、医療機関で音楽療法を実施。また、音楽療法者・療法的音楽教育者養成コース「アウディオペーデ(聴く器官の養成)」をドイツ・ベルリン・ハーベルヘーエにある音楽療法士養成学校と提携し、日本初のシュタイナー音楽療法士養成を行っている。
【目次】
日本語版を刊行するにあたって 10
まえがき 13
はじめに 15
第一章 音楽療法の基礎となる
健康と障がいにおける人間像 19
第一節 人間の発達と音楽の発展 20
人間の誕生から死まで 20
動き—響き—音楽 25
二十世紀の音楽の新たな形態と楽器 34
コロイ楽器誕生のきっかけ 36
新たな発展 39
音楽からみた子どもの成長段階 42
五歳から九歳まで 42
九歳から十四歳まで 46
十四歳から成人まで 50
まとめ 52
第二節 健康と障がいにおける人智学的な人間像
人間の三構造 54
音楽から見た人間の三構造 ① 55
音楽から見た人間の三構造 ② 56
音楽から見た人間の三構造 ③ 57
発達障がい児のグループ指導 59
五歳から九歳まで 59
九歳から十四歳まで 61
十四歳から大人まで 63
歌うこと 66
文化的な推進力としての音楽 68
人間の四つの構成要素 69
「対応点」の治療的適用 74
音楽における夢の意識 77
音楽療法はどのような場合に適用出来るのか
第三節 病状 79
ヒステリー 79
精神疾患及び精神疾患の前段階 81
急性精神病 87
大人になって発症する精神疾患 88
自閉症 89
自閉症傾向のある精神疾患をもつ子どもと大人
一般的考察 99
癲癇(てんかん) 100
強迫精神症 103
音楽療法を行うことに
慎重にならなければならない場合 107
痙直型脳性麻痺 110
運動障がい 111
知的障がい 113
形態異常 116
ダウン症 117
重度発達障がい児 118
モラルを認識出来ない人々 121
治療後の成人のサポート 125
第四節 治療者と治療の手段 126
音楽による治癒と慰め
—生来の才能を活かした職業 126
セラピールーム 128
楽器等 129
まとめ 132
第二章 音楽療法の原点としての音楽的手段 137
はじめに 138
第一節 音楽を構成する要素 142
音の性質 142
音列と音階 145
拍子の種類と動機 149
多声音楽 151
ひとつの音、二つの音、三つの音を
使った歌から長調・短調に至るまで 152
音楽を使った物語 152
① 不思議な楽士 153
② 小さい男の子 155
歌が出来あがった過程について 159
音程 161
修道士 — 音程の物語 162
長調と短調から全音音階を経て十二音音階へ
第二節 動きから始める音楽体験—
動きを使った大人のための音楽療法 167
右と左 172
上と下 174
前と後ろ 175
内と外 176
リズムと拍子 177
音の高さ 178
メロディー 179
緊張を解くための練習 180
声楽的手法 186
耳で聞こえない音 186
楽器演奏の準備練習 187
その他の音楽的な準備練習 187
楽器の演奏 188
受容的な療法 189
あとがき 192
脚注 196
音楽用語解説 200
巻末譜例集 207