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■『おやすみの後に』
    -シュタイナーと出会って生まれた絵本- 

マルタ・シュトラハヴィッツ著/ヒルデ・ランゲン絵/伊藤壽浩訳/
Copyright 2017/A5判ボードブック特殊折 20p/
ISBN978-4-7565-0133-2/
定価(3,500円+税)


【内容】

人間のこころと精神は、眠っているあいだ本来の故郷である大いなる世界に生きているとルドルフ・シュタイナーは言っています。

「ねむっているわたしは どこに いるの?」
眠りの秘密、生きる力の源泉、その真実の姿を
光に満ちたやさしいタッチで描き出した

シュタイナー的子育てにぴったりな絵本


【出版社から】

今までにない、本格的なシュタイナーの世界観が描かれた絵本です。
ぜひお手に取って本物にふれてみて下さいませんか。

流通の為にカバーを付けてありますが、ご手元に届きましたら ぜひカバーは取って、絵本そのものを味わってみて下さい。
カバー無しの絵本本体が私たちの希望する形です。


【プロフィール】

お話:マルタ・シュトラハヴィッツ(1865-1950)
伯爵位、詩人。シュタイナーに出会い、その思想に傾倒する。

絵:ヒルデ・ランゲン(1901-1979)
マルタの長女、画家。「いばら姫」など多くの絵本を手がける。

訳:伊藤壽浩(イトウ トシヒロ)
建築家、NPO法人京田辺シュタイナー学校宗教専科教員。


【訳者から】

わたしたちのこどもが生まれたお祝いに、親しい友人からドイツ語の絵本をいただきました。以来、この素晴らしい絵本を自分で訳して、毎晩のように読み聴かせ、そして次に生まれたこどもにも読み聴かせたものでした。

二人のこどもはいまでは成人しましたが、わたしは、これから育ってゆく多くのこどもたちにこの絵本の世界観を少しでも届けたいと願っています。

今日ますます厳しさを増す世界の中で、無力感に陥ることなく未来に希望をもつことは簡単ではありません。科学技術と経済の発展は人間の可能性をかつてないほど広げてくれましたが、その一方で、人間という存在をかつてないほど矮小なものにしてしまいました。

人間は本来偉大で崇高な存在です。限られた時間だけを閉ざされた世界の中だけで生きる存在ではありません。わたしたちひとりひとりが悠久の時を歩んでいるのであり、もっと大きく深遠な世界と繋がっているのです。

人間のこころと精神は、眠っているあいだ本来の故郷である大いなる世界に生きているとルドルフ・シュタイナーは言っています。そうして天と地を結ぶ人間だけがこの地上世界を本当に素晴らしいものにすることが出来るのだとも。

人間が持っている本来の広がりを温かく光に満ちたかたちで描いたこの絵本が、こどもたちのこころのなかに人生に対する豊かな信頼をしずかに育んでいってくれることを願ってやみません。


【書評】

「学芸研究室会報誌メルキューレ」第14号、2019年、9頁 所収

PNモモ

友人の家に遊びに行った時のことです。彼女には2歳になるお嬢さんがいて、それはそれは愛らしく、よくお話をしてくれる良い子でした。友人手作りのランチをご馳走になり、お腹がいっぱいになったお嬢さんの瞼はだんだん重くなり、もう寝そう……というところでハッと目を覚まします。

ママが「もうお昼寝したら?」と言うとお嬢さんは「やだやだ、ねるのこわい」と言ってママにしがみついてぐずり始めました。夜寝るときもこんな調子で、部屋の電気を真っ暗にするととても怖がるのだそうです。

そんな彼女を見守り、一緒にあやしながら、そういえば私も幼いころ、夜眠るのが怖かったな、と思い出しました。眠ってしまったらもう起きられないかもしれない。眠っているとき、世界はどうなっているのだろう?真っ暗な部屋にいると、そんな漠然とした不安がわいてきていてもたってもいられず、隣で眠る母の布団にもぐりこんでいたものです。

いつの間にか、友人のお嬢さんはぐずり疲れて眠ってしまいました。涙で頬にたくさんの筋を残して。その日はおひらきになり、帰りました。

そんなことがあって、しばらくしたのち、シュタイナー関係の本がたくさん置いてある本屋さんで見つけたのが「おやすみの後に」でした。

その本には、夜になるとどこからともなく銀の小人がやってきて、子供の瞼の上に、眠たくなる魔法の銀の砂を振りかけて眠りの世界にいざなうのだそうです。そして、眠ったあとの子供は空の上のほうへと飛んでいき、まばゆい光につつまれた神様の国へ出かけます。
そして、朝日がのぼると神様の国の門が閉ざされてしまうので、その前に門を急いで潜り抜け、お家へ戻っていくのです。光の精がだんだん降りてきて、その吐息で目を覚ますと、お父さんお母さんのいるいつもの世界に戻れるのです。

まさしく、子供のころに知りたかった眠った後の世界のことが描かれていたのです。
やさしい色合いのタッチで描かれた挿絵は、やわらかくあたたかい雰囲気でお話の世界観にもぴったりでした。

さっそく、この本を2冊買いました。一つは友人に。友人のお嬢さんがこのお話を理解するには、まだ難しいかもしれないけれど、少しでも眠ることへの怖さが安らぎますように!

そして、もう一冊は自分自身に。大人になった私が今もう一度、子供の私に読むために。

寝ている間に、かみさまの国に行って私たちはどんなことをしているんでしょうか。夢に出てきてくれることを願いながら、今日は寝てみようと思います。