ルドルフ・シュタイナーと人智学

哲学博士。1861年旧オーストリア帝国(現クロアチア)クラルイェベックに生まれる。1925年スイス・ドルナッハにて帰天。ウィーン工科大学で、自然科学・数学・哲学を学ぶ。ゲーテ研究家・著述家・文芸雑誌編集者として、世期末のウィーン、ワイマール、ベルリンで活躍。二十世紀になると、このような一連の活動の成果を踏まえて、「アントロポゾフィー(人智学)によって方向づけられた精神科学」へと足を踏みいれる。スイス・バーゼル市近郊ドルナッハにみずから設計したゲーテアヌムを建設し、普遍アントロポゾフィー(人智学)協会本部普遍アントロポゾフィー(人智学)協会本部とした。

現在、世界各国でゲーテアヌムと直接つながる邦域協会を中心にさまざまな人智学運動や研究が展開されている。日本における邦域協会は2000年に設立された。現在一般社団法人普遍アントロポゾフィー協会-邦域協会日本と、このNPO法人の前理事長を中心に集まったメンバーからなるNPO法人日本アントロポゾフィー協会の二つの協会が、ゲーテアヌム理事会と連絡をとりつつ存在している。

アントロポゾフィー(人智学)は、二十世紀以降の人類のために新しい霊的な世界観・人間像への道を開こうとするものである。このような人智学的世界観の基礎になっているのは、ヨーロッパの精神文化、特に哲学的認識とキリスト的なものの体験である。

現在、シュタイナーの精神科学は、学問領域にとどまらず、さまざまな社会的実践の場で実り豊かな展開を示している。シュタイナー教育(自由ヴァルドルフ学校)・医学・治療教育・薬学・芸術(建築・絵画・オイリュトミー・言語造形)・農学(バイオダイナミック農法)・社会形成(社会有機体三分節化運動)などがその具体例である。

その広大深遠な世界観は、ブルーノ・ワルター(指揮者)、ミヒャエル・エンデ(作家)、ソール・ベロー(作家)、ヨゼフ・ボイス(彫刻家)、今井兼次(建築家)を始めとする多くの人々に影響を与えた。